タイ/在タイ日本国大使館
神田外語大学卒業後、外資系下着ブランドのファッションアドバイザーとして小田急百貨店新宿店、大丸東京店などで勤務。2008年5月、在京タイ王国大使館商務参事官事務所にて企業対応、イベント運営など契約スタッフとして勤務。その後タイ関連企業で顧客管理や通訳・翻訳を経験。2009年3月から2年間、在外公館派遣員として在タイ日本国大使館庶務班に所属する。
(※取材時2011年2月)在タイ日本国大使館で在外公館派遣員として勤務しております。在外公館派遣員という制度は、世界の在外公館(大使館や領事館)に2~3年の契約で派遣され、主に便宜供与担当として働く仕事。日本から出張者がいらっしゃる際、ホテルや車の手配、空港-ホテル間の送迎などがメインの仕事です。タイの首都バンコクは東南アジアのハブ空港になっているので、大学の教授や企業の方、各省庁の大臣・副大臣など数多くの方々がいらっしゃいます。首相が来タイする際の空港のお出迎えも経験しました。その他、一般事務・総務的な仕事をしております。
1年10カ月になります。あっという間でしたね。着任した年はタイがASEANの議長国だったこともあり、就任して1週間後には会議の応援で現地に行きました。いきなり大きなイベントでしたので、本当にドタバタで。何にもわからない状態から入りましたので必死でした。でも派遣中に大きな国際会議が必ずあるとは限らないので、その意味ではバンコクで働けて良かったなと思います。
もともと英語が好きで、高校も国際人文化学科にいたのですが、担任の先生がタイの山岳民族の教育支援をされている方だったこともあり、タイだけでなく世界で活躍している日本の方を学校に招いて、タイの現状や子どもたちのことや世界の状況など色々な話を聞かせてもらいました。その先生の影響をもろに受けて、高校1年生の時に初めてタイに行ったのがきっかけ。高校の時からずっとタイに関わってきました。高校を卒業するときに国際協力関係に進むか、タイ語を勉強するか迷った時があり、そのときにふと山岳民族の子どもたちのことが思い浮かびました。タイ語が話せたら一緒に何かできるのではと思って、神田外語大学に入りました。
一般的な大学生のイメージは、時間がたくさんあって、勉強もバイトも、遊びもと思っていたのですが、神田外語大学は全く逆(笑)。正直、課題は多いし毎週テストだし、勉強ばかりの4年間だった気がします。でも充実していたし、とにかく好きなことが学べる環境だったので4年間は楽しかったですね。先生も学生のことを気にしてくださったので居心地がよかったです。
言語はどこまでいけば合格というのがありません。だから自分が4年間でどれだけできるようになったかはわからないんです。でも、何も読めなくて、書けなかったのが、今はこうした仕事をしています。とくに普通に仕事ができるレベルまで行ったので先生方にはとても感謝しています。
私の場合、英語はほとんど使わないですね。日本語とタイ語。上司が日本人、現地職員さんがタイ人なので、その間を取り持つことが多いんです。上司の意見をタイ語で現地の人に説明して、現地職員さんの意見を上司に日本語で説明しています。空港ではタイ語なので、フライトの状況の確認などはタイ語を使用することが多いですね。
上司の話す日本語を、現地の方に理解しやすいように説明するのが大変でした。考えていること、感覚が日本人と違うので、いくら説明してもなかなかわからないことも実際はあるんですね。
大学でタイの文化なども勉強してきたおかげで、例えば「こうしたら怒るんだろうな」などはわかっていました。年功序列というか、目上の人を敬う文化なので、私より年上の方にはちょっと気を使って説明するとか。言語だけ学んでも、その国の考え方や価値観などを理解するのが難しいところがありますが、文化や歴史を学ぶことによって、その国の人との関わり方などがわかってくると思いますね。
英語もタイ語もできると、自分の選択肢がやっぱり広がるんですね。この在外公館派遣員の試験も、「英語受験」や「タイ語受験」など色々あるのですが、タイ語受験だと行き先がタイだけなんです。英語ができると、第5希望ぐらいまで出せるんですね。同じ派遣員でも、現地の母国語は英語じゃないけれど、仕事は英語、という方もいます。日常業務は英語が話せたら問題ありませんが、現地職員さんと細かい話をするときなどは、そこの国の母国語ができた方が絶対いい。英語受験で行った人でも、その国の言語を勉強する人が多いですね。現地語でないと伝えられないこともあります。
着任してすぐにASEAN会議がありました。ここへ来るまでは大使館が国際会議にどう関わっているのか全く知らなかったのですが、日本が各国に対してどのように貢献していて、外交活動を行っているのかを知ることができました。私はプレス班として、日本から来る記者の方や、現地の記者の方を取りまとめる班の担当に。記者の人が記事をまとめるために必要なプレスルームの設置等も担当しました。同じ班の大使館員の皆さんもとても多忙なので、ほとんど私一人で部屋の契約を交わしたり、現地のFAX・インターネット回線なども業者と調整をしていました。多忙な日々でしたが普段はなかなか経験できないことを着任後すぐ体験でき、日本がタイに対して貢献している姿を目の当たりにできた事はすごく印象に残っています。
今、日本は不況と言われています。一方でタイの雇用は右肩上がりです。館内会議では毎週各班の仕事の進行状況を報告をするのですが、ベトナムや中国の成長の話もでますね。しかしやはりメインはタイ。日本が不況でも、タイでは観光業が伸びているという話がでたりすると、直に成長を実感しますね。
柔軟性でしょうか。直前にならないと決まらないことがあったり、タイのお国柄もありますが、言ったことがコロコロ変わるんです。それにどう対応していけるかも重要ですね。大使館は通常、上司が3年位ごとに新しく入れ替わるのですが、そのため新しい方と接する機会も多いですし、色々な状況に常に対応できることは大事です。
日常では経験できないようなことが体験できること。それから、日本が諸外国でどのような活動をしているかを目の当たりにできることです。 「自分が最先端で外交していきたい!」という人よりは、それを補佐する役割が好きな方が在外公館派遣員には合っていると思います。
「ま、いいか」というところですかね(笑)。日本人から見ると「ま、いいかじゃないだろう!」ということも多いのですが(苦笑)。仕事でもプライベートでも、そんな所がいいのかなと思います。時にはイラッとすることもありますけどね。それがまた病み付きになるというか、いいなと思えることもあるので、両方ですかね。
私の場合、タイで働きたいと思ったのが周りと比べて少し遅かったんです。現役大学生と話をする機会があるんですが、今は1~2年生の段階から「私はタイで働きたい」という人がすごく増えてきていますね。タイで働きたいという目標がはっきりしているなら、卒業するまでに具体的にやりたいことまで考えられるといいかなと思います。タイ語ができれば現地での職業の選択肢は確実に広がります。むしろ広すぎるくらいなので、やりたい事、なりたい自分を考えておいたほうが良いですね。
タイに来てすごく強く思ったのは、将来、タイ語を遊びではなく仕事で使いたいということ。「旅行でタイ語が話せたらいい」とか「日本でタイ人の友達としゃべれたらいい」というレベルではなく、仕事で使いたいという気持ちが強いので、将来もできれば翻訳や通訳の仕事をしたいですね。
あまり人には話さないんですけど(苦笑)、「自分がやりたいことを人に言う」こと。そして、自分が努力し頑張り続けることですかね。タイミングもあってポンポンポンと行く人もいるけど、私はそういうタイプではありません。常に、コツコツ頑張ってという風にやってきたので、タイミング良く行く人をうらやましいなと思う反面、やっぱり私は私のやり方で頑張って行こうかなと思います。
皆さん、派遣制度の受験対策として、色々と頑張っているかと思います。試験も大事ですが、その人柄が面接などでは重要視されることが多いので、試験に限らず、日々の生活も充実させてください。普段はできないことをたくさん経験できる場所なので、皆さんが合格できるよう祈っています。
(※取材時2011年2月)在タイ日本国大使館で在外公館派遣員として勤務しております。在外公館派遣員という制度は、世界の在外公館(大使館や領事館)に2~3年の契約で派遣され、主に便宜供与担当として働く仕事。日本から出張者がいらっしゃる際、ホテルや車の手配、空港-ホテル間の送迎などがメインの仕事です。タイの首都バンコクは東南アジアのハブ空港になっているので、大学の教授や企業の方、各省庁の大臣・副大臣など数多くの方々がいらっしゃいます。首相が来タイする際の空港のお出迎えも経験しました。その他、一般事務・総務的な仕事をしております。
1年10カ月になります。あっという間でしたね。着任した年はタイがASEANの議長国だったこともあり、就任して1週間後には会議の応援で現地に行きました。いきなり大きなイベントでしたので、本当にドタバタで。何にもわからない状態から入りましたので必死でした。でも派遣中に大きな国際会議が必ずあるとは限らないので、その意味ではバンコクで働けて良かったなと思います。
もともと英語が好きで、高校も国際人文化学科にいたのですが、担任の先生がタイの山岳民族の教育支援をされている方だったこともあり、タイだけでなく世界で活躍している日本の方を学校に招いて、タイの現状や子どもたちのことや世界の状況など色々な話を聞かせてもらいました。その先生の影響をもろに受けて、高校1年生の時に初めてタイに行ったのがきっかけ。高校の時からずっとタイに関わってきました。高校を卒業するときに国際協力関係に進むか、タイ語を勉強するか迷った時があり、そのときにふと山岳民族の子どもたちのことが思い浮かびました。タイ語が話せたら一緒に何かできるのではと思って、神田外語大学に入りました。
一般的な大学生のイメージは、時間がたくさんあって、勉強もバイトも、遊びもと思っていたのですが、神田外語大学は全く逆(笑)。正直、課題は多いし毎週テストだし、勉強ばかりの4年間だった気がします。でも充実していたし、とにかく好きなことが学べる環境だったので4年間は楽しかったですね。先生も学生のことを気にしてくださったので居心地がよかったです。
言語はどこまでいけば合格というのがありません。だから自分が4年間でどれだけできるようになったかはわからないんです。でも、何も読めなくて、書けなかったのが、今はこうした仕事をしています。とくに普通に仕事ができるレベルまで行ったので先生方にはとても感謝しています。
私の場合、英語はほとんど使わないですね。日本語とタイ語。上司が日本人、現地職員さんがタイ人なので、その間を取り持つことが多いんです。上司の意見をタイ語で現地の人に説明して、現地職員さんの意見を上司に日本語で説明しています。空港ではタイ語なので、フライトの状況の確認などはタイ語を使用することが多いですね。
上司の話す日本語を、現地の方に理解しやすいように説明するのが大変でした。考えていること、感覚が日本人と違うので、いくら説明してもなかなかわからないことも実際はあるんですね。
大学でタイの文化なども勉強してきたおかげで、例えば「こうしたら怒るんだろうな」などはわかっていました。年功序列というか、目上の人を敬う文化なので、私より年上の方にはちょっと気を使って説明するとか。言語だけ学んでも、その国の考え方や価値観などを理解するのが難しいところがありますが、文化や歴史を学ぶことによって、その国の人との関わり方などがわかってくると思いますね。
英語もタイ語もできると、自分の選択肢がやっぱり広がるんですね。この在外公館派遣員の試験も、「英語受験」や「タイ語受験」など色々あるのですが、タイ語受験だと行き先がタイだけなんです。英語ができると、第5希望ぐらいまで出せるんですね。同じ派遣員でも、現地の母国語は英語じゃないけれど、仕事は英語、という方もいます。日常業務は英語が話せたら問題ありませんが、現地職員さんと細かい話をするときなどは、そこの国の母国語ができた方が絶対いい。英語受験で行った人でも、その国の言語を勉強する人が多いですね。現地語でないと伝えられないこともあります。
着任してすぐにASEAN会議がありました。ここへ来るまでは大使館が国際会議にどう関わっているのか全く知らなかったのですが、日本が各国に対してどのように貢献していて、外交活動を行っているのかを知ることができました。私はプレス班として、日本から来る記者の方や、現地の記者の方を取りまとめる班の担当に。記者の人が記事をまとめるために必要なプレスルームの設置等も担当しました。同じ班の大使館員の皆さんもとても多忙なので、ほとんど私一人で部屋の契約を交わしたり、現地のFAX・インターネット回線なども業者と調整をしていました。多忙な日々でしたが普段はなかなか経験できないことを着任後すぐ体験でき、日本がタイに対して貢献している姿を目の当たりにできた事はすごく印象に残っています。
今、日本は不況と言われています。一方でタイの雇用は右肩上がりです。館内会議では毎週各班の仕事の進行状況を報告をするのですが、ベトナムや中国の成長の話もでますね。しかしやはりメインはタイ。日本が不況でも、タイでは観光業が伸びているという話がでたりすると、直に成長を実感しますね。
柔軟性でしょうか。直前にならないと決まらないことがあったり、タイのお国柄もありますが、言ったことがコロコロ変わるんです。それにどう対応していけるかも重要ですね。大使館は通常、上司が3年位ごとに新しく入れ替わるのですが、そのため新しい方と接する機会も多いですし、色々な状況に常に対応できることは大事です。
日常では経験できないようなことが体験できること。それから、日本が諸外国でどのような活動をしているかを目の当たりにできることです。 「自分が最先端で外交していきたい!」という人よりは、それを補佐する役割が好きな方が在外公館派遣員には合っていると思います。
「ま、いいか」というところですかね(笑)。日本人から見ると「ま、いいかじゃないだろう!」ということも多いのですが(苦笑)。仕事でもプライベートでも、そんな所がいいのかなと思います。時にはイラッとすることもありますけどね。それがまた病み付きになるというか、いいなと思えることもあるので、両方ですかね。
私の場合、タイで働きたいと思ったのが周りと比べて少し遅かったんです。現役大学生と話をする機会があるんですが、今は1~2年生の段階から「私はタイで働きたい」という人がすごく増えてきていますね。タイで働きたいという目標がはっきりしているなら、卒業するまでに具体的にやりたいことまで考えられるといいかなと思います。タイ語ができれば現地での職業の選択肢は確実に広がります。むしろ広すぎるくらいなので、やりたい事、なりたい自分を考えておいたほうが良いですね。
タイに来てすごく強く思ったのは、将来、タイ語を遊びではなく仕事で使いたいということ。「旅行でタイ語が話せたらいい」とか「日本でタイ人の友達としゃべれたらいい」というレベルではなく、仕事で使いたいという気持ちが強いので、将来もできれば翻訳や通訳の仕事をしたいですね。
あまり人には話さないんですけど(苦笑)、「自分がやりたいことを人に言う」こと。そして、自分が努力し頑張り続けることですかね。タイミングもあってポンポンポンと行く人もいるけど、私はそういうタイプではありません。常に、コツコツ頑張ってという風にやってきたので、タイミング良く行く人をうらやましいなと思う反面、やっぱり私は私のやり方で頑張って行こうかなと思います。
皆さん、派遣制度の受験対策として、色々と頑張っているかと思います。試験も大事ですが、その人柄が面接などでは重要視されることが多いので、試験に限らず、日々の生活も充実させてください。普段はできないことをたくさん経験できる場所なので、皆さんが合格できるよう祈っています。